今更ではあります、僕は松本清張を読み始めた。なんだこれは、流れる時間がここちいい、あっという間に夕方が来る。

少しあたたかくなり、カッターシャツになった僕。その胸のボタンを開いて、彼は何の衒いもなくメスをいれ、胸を切り開いてゆく。心臓の地金を木槌で軽快にたたく。ひとしきり形を整えたら、サンドペーパーで磨いて僕の一握りしかない感性をピカピカにしてくれるのだ。

「黒革の手帳」を読んでいる。

となりには、コナコーヒーが独特の香りを奏でている。

描写が丁寧で、主人公のハルエの生活が脳のスクリーンに動画で再現される。それが映画のように思えるのは、映画カメラのアングルを意識しているような、高低差のある視線の描写が秀逸だからだ。

日本の探偵小説のトリックを、江戸川乱歩、松本清張、横溝正史が喰いつくしたのは間違いない。(笑)

なんで松本清張が面白いのかが、やっとわかってきた。

主人公の生活が丁寧に書いてある。なぜこんな生活をしている人が、犯罪を犯すのか、その「動機」を登別温泉に浸り、のぼせる手前まで、懇切丁寧に書いているからに違いない。まあ、登別温泉でなくてもいい。(笑)

「動機」は人を動かす。そこに秘密のスイッチがある。

恋人同士なら、なぜ僕は彼女を好きになったのか。その動機は必ずある。だれでも、そこが知りたい。

いきなり、答えの説明では面白くない。

「じらしくれないと」僕は燃えない(笑)

3月1日から就職が解禁された。

面接で一般的に最初に志望動機をきく。ダメでしょ。

そんなんじゃ、推理小説の犯人は口を割らない。

もしも松本清張が学生の就職面接官だったらなにを聞くだろう。

家族の事や、親孝行の話しなどして、胸襟をゆるめるだろう。

そして「どんなアルバイトをしていましたか?」などとざっくばらんな話しへ。

次ぎに「アルバイトで貯めたお金で何をしましたか?」という質問をする。

この質問で、相手の深層心理とか人物像は結構出てくるに違いない。

動機というのは恋とか、お金とか、人間関係とかに起因することが多い。

人は他人の「動機」に興味津々だ。

うそじゃない、恋バナや趣味など、動機を教えてと居酒屋でやれば

朝まで話が尽きないのですから・・。

投稿者プロフィール

渡部雅泰ライター
クレストデジタルズ株式会社
代表取締役
渡部雅泰(わたなべまさやす)
東京都武蔵野市吉祥寺在住

profile
中小企業家同友会
倫理法人会
海外旅行100回以上(大学卒業後旅行代理店勤務、主に海外旅行を担当)
家族で全県宿泊挑戦中(家族で23/47都道府県)
2016年お遍路逆打結願
山下達郎さんの大々ファンです、愛媛FCボランティア