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「愛するとは棄てないこと」

遠藤周作先生のこの言葉が忘れられません。

愛の第一原則は「捨てぬこと」です。
人生が愉快で楽しいなら、人生には愛はいりません。
人生が辛くみにくいからこそ、人生を棄てずにこれを生きようとするのが人生への愛です。

相手への美化が消え、情熱がうせた状態で、しかも相手を「捨てぬ」ことが愛の始まりです。
相手の美化の美点でなく、欠点のイヤな面を含めて本当の姿を見極め、しかも本当の彼を捨てぬのが愛の始まりだ。
恋なんて誰にもできるもの、愛するこそ創り出すもの、と憶えて置いてください。

遠藤周作

 相手の良さを愛すのは簡単だけれども、相手の弱点とか、悪さとか、折り合いのつかない、ままならないものを愛するというのは、一筋縄ではいかない困難を伴う。

 誰しもが、いつの日か美醜に悩むときがくる。そう。ままならない状態を目の前につきつけられる。美しさをどこに発見すればいいのか、悩んでしまう。何をするにも面倒くさくなり、気のきいた言葉が足りなかったり、相手を思いやるための言葉を忘れてしまったような状態に陥る。

 然るべき過ごした時間とか、然るべき共有する大切な子供とか、然るべき共有する楽しい思い出とか、そういう大前提があれば、なにかしらプンと立ち上がるものはあるだろうが、それをどのように「愛は棄てない」に持っていけるのだろうか?

 「愛は棄てない」ということを、逆手に捉え、難しい場所からでも田を耕し、種を植えることが出来るかも知れない。いや、そうは簡単ではないだろう。種を蒔いても、発芽するための丁寧な作業はむずかしい。

 添乗員をしていたころ、マレーシアのペナン島の夕暮れ、ヨーロッパから旅行に来ていた80歳をこえた夫婦が、サンセットに海辺を歩いていた。手をつなぎ、二人とも本を抱えていた。その本はどんな物語かは計り知れないが、得てして仲のいい夫婦というのは読書好きだと僕は思う。

 なぜかって?音楽、芸術、本とか、そういうものだけが、切れ切れになった気持ちをつないでくれたり、足りないものを補填してくれると僕は信じているからだ。

 自叙伝の仕事を始めると、誰しも元気になることばをみつけ始める。

 そのスイッチを押すのが僕の仕事だ。

 

 

 

投稿者プロフィール

渡部雅泰ライター
クレストデジタルズ株式会社
代表取締役
渡部雅泰(わたなべまさやす)
東京都武蔵野市吉祥寺在住

profile
中小企業家同友会
倫理法人会
海外旅行100回以上(大学卒業後旅行代理店勤務、主に海外旅行を担当)
家族で全県宿泊挑戦中(家族で23/47都道府県)
2016年お遍路逆打結願
山下達郎さんの大々ファンです、愛媛FCボランティア